date.2014.01.09 category.WORK/FURNITURE CUSTOM
今回のお客様からのご要望は、ダイニングサイズ程度のアンティークテーブルをカスタムして、大型のリフェクトリーテーブルにしたい!というもの。
またまた難しいご注文です。
カスタム前の写真がこちら。
天板サイズ1000mm×1000mm程です。
これを2400mm×1000にするのです。
元々の構造上、中央から2分割された天板と脚部をワイド方向に引き延ばして、中央にエクステンション用の天板をはめ込むと大型サイズのリフェクトリーテーブルに変形する、という物ではあったのですが、その拡張した見た目が、ややお粗末。
中央にはめ込む天板はコグチの面材も無く、素材もベニヤむき出しです。
全体的に塗装も大分劣化していて、艶もなく古ぼけた表情。
それはそれで朽ちた味わいなのですが、今回このテーブルがディスプレイされるショップのイメージとしては、もっと艶やかでゴージャスな物に調整する必要がありました。
使えるアンティークパーツはなるべく生かしてあげながら、上手に新しいパーツを組み込んで仕上げていきます。
まず、元々のテーブル脚部や、天板のコグチ面材は流用するという前提で、塗装後の色目が合いそうな木材を選定し天板を一枚制作します。
コストも大幅に押さえる必要があったので、比較的安価なウォールナットの白太材を選定し、細かいピッチで接ぎ合わせました。
塗装前の段階だと接ぎ合わせの違和感や不自然さが目立ちますが、後の塗装工程で調整します。
白太(しらた)とは、この写真で色が白く見えているところ。
木材の樹皮に近い白い部分で比較的安価に入手出来ます。
欠損していた部分の天板コグチの面材を制作し接合、元のアンティーク天板の面材と自然につながる様に整形していきます。何とか似た感じでつながりました。
この部分も後の塗装で自然な色味に化粧していきます。
<
まず、オイルステインでウォールナットの木肌を染色塗装。
着色前には大分気になった細かい接ぎ目が、この段階で序所に気にならなくなっていきます。
白太部分の濃淡を見ながらステインの着色を調整して、全体的にウォールナット特有の揺らぎある綺麗な木目に見える様に仕上げていきます。
この段階で既に、元から流用したアンティークのパーツと新しく組み込んだ木材の見た目が調和してきました。
ここから、ニス塗装。
古典的なタンポ塗装で薄く薄く手塗り塗装を重ねていきます。
琥珀色をしたセラックニスでテーブル全体の光沢感を揃えていくように、艶やかな塗装膜で被っていきます。
再びアンティーク塗装された脚部も、生気を取り戻した様な引き締まった表情になりました。
この段階までくると、塗装前の細かい接ぎ目は殆ど気になりません。
むしろ、白太の有機的なラインがアクセントになり非常に表情豊かです。
ぴかっと光ったニス塗装の艶を、スチールウールという細かい鉄繊維の綿で優しく撫でて曇らせてあげ、再びアンティーク塗装専用のワックスで磨き上げます。
この一手間で、塗装膜のビカっとした艶を抑え、落ち着きのある半艶に調整してあげつつ、同時に塗装の皮膜を保護する効果があるのです。
完成です。
そして青山のお店へ納品。
今回、スケジュールもかなりタイトだったのですがギリギリのタイミングで滑り込みセーフ。
お客様にもとても喜んで頂け、スタッフ皆でほっと胸をなでおろしました。。
date.2013.11.14 category.WORK/FURNITURE CUSTOM
今回は、一般住宅のキッチンカウンター&キャビネット制作の施工例をご紹介。
施工前の現場写真がこちら。
既存のカウンター撤去もされておらず、壁面などの古い塗装もそのままで
薄暗く、ちょっと寂しいイメージです。。
アンティーク家具や、クラシカルなニュアンスのインテリアがお好きな方の中で
新築やリフォームの際に、家具やファブリック、照明器具などのアイテムはこだわって探したけど
なかなか水回りに関わる部分は難しくて、オーダーで作るのは予算的にも厳しい。
色々調べるのもしんどくて、結局は大手メーカーのユニット製品をオーダーした。。。
という方も、実際は多いと思います。
普段、店舗の什器を数々制作している我々にとっても、家庭の中で実際に使用する水回りに関わるもので
しかもキッチン&キャビネットの様な高い機能性を要する据え付け家具を制作する、というのはなかなか難しい課題でした。
今回の制作にあたっての重要なポイントは
●アンティーク家具やビンテージテイストのインテリアと調和する様なデザインと素材感にする。
●キッチンメーカー品に劣らない機能性や清掃性を備える。
●食器や電子レンジや湯沸かしポット、冷蔵庫までがスッキリと隠せる収納力を持たせる。
●価格も極力リーズナブルに押さえたい。
などなど。
細かく要点を盛り込みながら、住空間に自然になじむデザインと、現場のサイズに無駄無く
効率的に収まるサイズを割出し
何よりも、実際に使用する女性にとっての使い易さを緻密に考えながらプランを進めました。
細かな機能や構造を学ぶために、まずは大手専門メーカーのショールームをいくつも訪ねて回りました。
見た目のかっこよさなどをさておけば、既製のキッチンユニットの機能性や構成などは流石に研究されていて、非常に参考になるものでした。
安価な物から高級オーダーキッチンまで、数々のメーカーのショールームへ伺い、色々とお話を聞かせて頂きました。
そして、おおまかな使い勝手や収納物を想定したレイアウトを組み、まず最初に出来上がったラフプランの3D画像がこちら。
キッチンカウンター&収納キャビネットは共に、外部の仕上げ材としてオークの無垢材&突き板材を、
内部の見えない部分には耐水/清掃性を考慮して、チャコールグレー色のメラミン化粧板を選定しました。
カウンタートップに関しては、この時点ではステンレスや耐熱樹脂素材なども検討範囲に入っており、
仮想のビジュアルには、暫定的にグレー系統色の天板をあてがいました。
収納キャビネットの内部には、食器や調味料・缶詰・その他の食品類などをはじめ、湯沸かしポット. 炊飯器 . 電子レンジ .冷蔵庫
などの電化製品まで、生活感を醸し出す全ての物をスッキリと隠してしまう構成に。
キャビネットの中心部に作ったガラス棚&内部照明を仕込んだ窪みのスペースが、大きな収納面の圧迫感を軽減してくれます。
背面側に、少しでも何かを置けるスペースがあるという事も重要です。
3Dビジュアルを見ながら再度デザインを詰め直し。
天板の素材に「シルバーグレー」という濃い色味の御影石を選定。
グレーやブラックの粒子の中にキラッと光る結晶を含んでいる渋めな石です。
テーブルトップの濃い色味が、オーク材の乾いた印象をぐっと引き締めてくれます。
ステンレスや樹脂素材よりも、やはり天然素材の雰囲気がありますし、大理石などに比べると硬度が高く、レモンや
オレンジなどの食品の酸で変質する心配もありません。
しかも、コスト的にも当初オーダー制作を検討していたステンレスのトップよりも遥かに安価でした。
角張って無機質な印象だった天板のコグチは、飾り面取りをして装飾する事にしました。
石材の断面に丸みを持たせる事で、何かをぶつけた際の石自体の欠けなどのリスクを低減しながら、
全体の見た目も柔らかい印象になります。
こちらで指定したオリジナルの形状に合わせて、中国の工場で開口・整形加工してもらう事が出来ます。
ディティールのこだわりですが、この部分によって大分全体の印象が変わります。
当初、キャビネットに向かって右側にある冷蔵庫が収納されている扉と他の収納部の奥行きは、デザイン
優先で統一されており前面一列に合わせていたのですが、キッチン内で作業をする人のスペース確保と動き
やすさを最優先して考え直し変更。
天板の右端は跳ね上げ拡張式のエクステンション天板に。
食材やお皿やグラスなど、ちょっとした物を置ける意外と重要なパーツです。
開閉時の操作性を考慮して、本体側に合わせたオーク材に素材変更しました。
カウンターにセットするシンクの内壁には2層の段が付いていて、まな板や水切り板、作業台や洗った食器の水切りカゴ
などを組み合わせる事が出来ます。
見た目にもエッジの立ったシャープな印象です。
入り隅が丸まっている方が清掃しやすいという見解もありますが、このシンクはナノレベル(1ナノメートル=1/10億メートル)
の細かい粒子の特殊コーティングを施した物で、汚れやカビの侵入を防いでくれます。
水栓金物は、GROHEの物を。
水道水/浄水の混合栓で、見た目も非常にシンプルでスッキリした印象。
ヘッドが引き出せるのでシンク内の洗浄時にも便利です。
そして、最終的にオイルガードやダクトフード、床や壁や梁などもパースに組み込み、実際に室内の中で見えるキッチンの
ビジュアルバランスを確認します。
図面もあわせて作業導線なども細かくチェックしてから、実物の制作に移りました。
家具工房での制作過程チェックや、現場での設備工事などを進めながら
何とか設置完了。
まずは、完成品のディティール写真から。
前述のオーク突き板は特注の物で、ベニヤにスライスしたオークを貼付ける際にあえて黒いボンドを使用しています。
導管の溝に黒い色がうっすらと見えるのがポイントです。
塗装は、watoco waxで仕上げ。
亜麻仁油を主体とした植物由来の塗料で、塗装方法も刷毛で塗って拭き取るだけと非常に簡単です。
塗膜を張らないのにしっかりと防水効果もあって、将来的なセルフメンテナンスも容易。
ピューターの取っ手はフランスからインポートした物で、さりげなくアクセントになってくれます。
カウンターの前面部はグラスやボトルなど奥行きの無いもの専用に、奥行き10cmの収納を。
扉をつける事で正面側に装飾性を持たせつつ、料理をしている人と導線が干渉しない位置
からグラスを出し入れ出来るというメリットが生まれます。
キッチンに立って作業をしている女性はいつも手一杯なので、家族や友人にカウンター前部から自由に
グラスを取ってお手伝いしてもらえるだけでも、意外と助かるのです。
シンクに作業台をセットした写真。
水きり穴の空いたトレーパーツを一段深い位置にセットすれば、野菜などの食材を乗せて洗浄する事が出来ます。
手前側に開口しているのは包丁収納のスペース。
使用頻度の高い物だけでも、シンク手前のこの場所にあると便利です。
簡単に潰してしまえるスペースも隅々まで有効活用しました。
カウンターのサイドには一升瓶の高さまで入る引き出し式のワゴンカート。
手前に全てを引き出せるので、奥の物まで非常に探しやすいです。
背面収納側にも同じシステムの引き出し式ワゴンを。
こちらは床から天井まで丸ごと一体の、とても背丈も高く大型な引き出しですが、女性が片手で楽々と引き出せる収納システムです。
全ての扉や引き出しには、オートクローズ機能の金具を取り付けているので
片手に何かを持っていても、手が汚れていても、脚や肘をつかって少し押すだけで自動的に最後までゆっくりと閉まってくれます。
この扉の裏側部分に付いている細い板の様な物は、オートヒンジ。
左右どちらの扉から開閉しても自動で真ん中の隙間を塞いでくれます。
両扉を左右から自由に開けたい。でも、両扉の間の隙間も隠したい!
という難しい要求に応えてくれるパーツ。
食器を収納するキャビネット内部に埃が入るのを防いでくれます。
電子レンジや湯沸かしポット、冷蔵庫などの家電機器を収める部分には、開閉しつつ奥行き方向に押し込んで収納出来る扉を取付け。
普段は扉をオープンにして便利に使用しながら、来客時には扉を引き出して閉じて全てを隠す事が出来ます。
ガスレンジはRinnaiのDELICIAシリーズ。
夫々の調理方法にあった火力を自動調整してくれる設定機能が付いている優れもの。
キッチンに立つ人の利き腕を考慮して、強化力コンロの配置なども細かく検証。
今回のケースではコンロ近くの右側の面に袖壁が立っているので、作業する人が右利きであれば強化力のコンロは左にレイアウトした方が、大きなフライパンや中華鍋などは振りやすいのです。
壁面には洗浄も可能な石材調のタイルを張り、細かな調理器具をフックできるステンレス製の器具を取付けました。
全体写真がこちらです!
細部まで制作前の3D画像の通り忠実に形作られ、現場への据え付けも寸分狂わずピタッと収まりました。
c:hordでは、店舗だけでなく御家庭内の家具製作も承っております。
御予算やご要望にあわせてプラン致します!
是非お気軽にご相談ください。
03-3560-6915
info@chord.co.jp
date.2013.11.11 category.WORK/FURNITURE CUSTOM
先日、ソファ修理のご相談を頂きました。
まず、メールで送られてきた修理前のソファの写真がこちら。
デザインから見て、北欧系のソファでしょう。
長年使い込まれた様で、全体的に少しくたびれた印象です。
革の表面は大分ひび割れて、元々ブラックだった色味も褪せて退色しています。
これはこれで男っぽくて渋いのですが、このまま使って行くと革がクラックして破けてしまいそうな状態です。
木部のジョイントが外れてしまっている所もありそうです。
後で良く見たところ、片側の脚部は何と!ぼっきりと折れていました。。
クッションの中綿も痩せて、それを受け止めるスプリング構造自体も大分弱っている様子。
裏面から見ると裏貼り生地もぼろぼろに。。
まずは、直接ご自宅へ伺って実物を拝見。
あまりに修理費用がかかり過ぎても困るが、購入された時の金額も高額だったし、何より思い入れもある、、
何とか直したい!との事。
ご予算に収まる修理の方法と、御見積もりを算出→お客様にご納得頂いた上で、施工に移る事になりました。
そして、数週間のメンテナンス加工後の完成品がこちら。
若々しく蘇えりました。
使い込んだビンテージレザーの風合いは其のままに残したい、というリクエストに合わせて
ブラックの補色とその色止め加工をして、革に油分と栄養を与えながら自然な黒の色味と艶を戻してあげました。
糸が劣化して、ほつれてしまっていたステッチも、一度外して縫い直し。
ヘタッて薄くなってしまったクッション内部には、程よく綿を補充。
作業時の様子を写せませんでしたが、裏貼りを一度はがして内部のスプリング構造も立て直し。
元々のスプリング構造を全て取り除かずに、その上からゴム繊維のベルトを編み込む様に補強する方法をとりました。
折れてしまっていた脚部も接合し直して、表からは見えない様に内部に鉄の棒を仕込み、ひび割れはエポキシパテで埋めて補色。
強度は勿論がっしりと、補修跡も其れ程目立ちません。
木部のひび割れや破損なども修復し、全体的に塗装もかけ直し。
自然な艶に調整。
まだまだ、これから何年も使えるソファに生まれ変わりました。
修理やカスタムに関しても
お気軽にお問い合わせください!
03-3560-6915
info@chord.co.jp
date.2013.11.06 category.WORK/FURNITURE CUSTOM
今回はインテリアデザイン事務所さんからのご依頼。
新規オープンするアパレルショップ用の什器制作です。
アンティーク物も含め沢山のご注文を頂き、スタッフ総出で制作に奔走しました。
まずは、テーブル什器。
挽きもの脚の上に厚みあるガラス天板をドンと置いただけの、シンプルだが面白い組み合わせです。
脚部は一本ずつ旋盤で挽きもの制作。
木材は「キハダ」という、ミカン科の材を使用しました。
比較的柔らかくエイジング加工が容易で、コスト的にもリーズナブルな材です。
もとの黄〜緑の独特な色味も、オイルステインの染色+エイジング加工でいい感じに調整出来ました。
こちらはワードローブ型の棚什器。
ベニヤ+ツキ板のオーク材を使用してコストを抑えつつ、面材は無垢材からオリジナル制作して組み合わせました。
オイルステインでムラに染色したり小さな真鍮ハンドルを組み合わせたりして、シンプルでほどよくクラシカルな雰囲気に。
スタンドショーケース型のディスプレイボックス。
ガラスははめ込まず、内部の商品に直接触れる事が出来ます。
マネキンのディスプレイをより印象づける目的の什器です。
上下の木部パーツは、棚什器と同じくキハダで制作。
金属のフレームは、溶融亜鉛メッキをして、程よく研磨仕上げしたものです。
フィッティングミラー。
残念ながら、手間をかけて作り込んだディティールが何も写せてませんが。。。
背面上部には移動用のアイアン製のハンドル、床設置部にはゴツっとした無骨なキャスターを取り付けました。
照明器具。
こちらもアイアンに溶融亜鉛メッキ加工したフレーム&シェード。
シェード下場には一本パイプが走っていて、ハンガー陳列が可能になっています。
ガラスはアンティーク型ガラスをはめ込みました。
棚什器。
アイアンにブラックのカラークリア塗装。
棚板はキハダ。
棚什器2。
こちらは、フランスのリプロダクションメーカーが制作しているラック。
アイアンの仕上げや、オーク棚板のフィニッシュなど細部の作りが非常に丁寧です。
棚板は、お客様のご希望に合わせて塗装可能です。
棚什器3。
アイアンフレームと木を組み合わせ
トリコロールに塗装した少しチープで軽いイメージにしつらえました。
レジカウンター。
アンティークの鋳物脚パーツを取り寄せ、上部の木部パーツを制作し組み合わせました。
こちらの材もキハダ。
天板両端の木口には、亜鉛板を巻き付けて釘で固定。
ディティールのこだわりですが、なかなか効いてきます。
c:hordでは、我々自身がデザインして空間全体を作り上げる事も勿論出来ますが
他社のインテリアデザイナーさんからのご依頼の元、什器制作やアンティーク家具のカスタム、インポートまで承って空間づくりのお手伝い
も承っております。
全体のご予算や納期、最終的に作り上げたい空間のイメージなどを踏まえて様々なご提案をしております!
お気軽にご相談ください。
03-3560-6915
info@chord.co.jp
date.2013.11.06 category.WORK/FURNITURE CUSTOM
先日無事に納品を終えた、カウンターテーブルとハイスツール制作の模様をご紹介致します。
今回ご注文頂いたのは、六本木ヒルズクラブ内のイタリアンレストランla cucina(ラ クッチーナ)に新設するパーティ用テーブルセットです。
まずテーブル制作の行程を。
ご要望頂いたテーブルのサイズは、天板でw2800mm 高さは1000mmと、かなり大きなもの。
立食形式は勿論の事、ハイスツールをセットすればゆったりと座って御使用頂けるという構成に。
いつもの様に、御打ち合わせの中でお客様のご要望を伺いながら各所の素材と全体のデザインを決定し、
完成後のビジュアル確認とイメージを共有する為の3D画像を作成します。
天板はホワイトを基調にグレーの斑が入った大理石。
これは表層5mm厚の天然大理石+内部芯材のファイバー樹脂がサンドイッチ構造になっている特殊な素材。
大型テーブルの軽量化を図りつつ、天然石よりも高い強度を望めるというメリットがあります。
そして天板面の外周は、オーク材で囲う事で人造石の断面を隠しつつ、金属+石という若干固い素材感を少し中和して柔らかい表情に。
脚部はオリジナルで鍛造制作したアイアンを真鍮メッキし、特殊な酸化液でエイジング、真鍮古美色に仕上げます。
制作風景。
まずは脚部を構成するパーツを、一つ一つ鍛造して行きます。
二つのパーツが重なり合う接点の部分は、先端をハンマーで叩いて厚みを薄くしておきます。
形状を整えた後で、真鍮メッキが綺麗に付着する様に金属の表面を丁寧に研磨。
手間ひまをかけた物にしか出せない表情が、少しずつ滲み出てくる瞬間です。
両端の脚部パーツをつなぎ合わせる貫棒(ぬきぼう)の端に取りつける儀星(ぎぼし)パーツは、国内で職人が無垢の真鍮を削りだしてハンドメイドしている物。
さりげなく小さな部材ですが、全体を組み上げると重要なアクセントになります。
そして、完成した物がこちら。
そしてスツールをセット。
バタバタの納品直後の撮影で、いい写真が撮れませんでしたが、、。
スツールは、お客様からのリクエストで赤いレザーを座面に張りました。
共材の革ベルトをとめる仕上げの単発鋲と足掛けのガードパーツは、テーブルに調和する様に真鍮素材で仕上げました。
近々、再撮影して綺麗な写真を改めてアップします!
c:hordでは、店舗や御家庭用の家具/什器のオーダー制作のご注文を承っております。
いつでもお気軽にご相談ください。
03-3560-6915
info@chord.co.jp
再撮影したので、写真を追加でアップします。
date.2013.10.10 category.WORK/FURNITURE CUSTOM
本日はc:hordで行っている商品のメンテナンスの様子を御紹介いたします。
今回お客様よりオーダーいただいたのがこちらのテーブル
1920年フランス製のアンティークです。
使い込まれて飴色になった木部の色合いと、脚部のかすれた白い塗装、木口に巻き付けられた黒いアイアンフレームが特徴的なテーブルです。
納品前の状態を見ると、天板部分が痩せて接ぎ合わせの部分に10〜15mm程の隙間が開いてしまっています。
比較的カントリーテイストよりな家具なのですが、この隙間はアンティークの「味」と解釈するには若干気になる。。。
今回はアパレルショップのオープン直前の急遽オーダーだったので、ご注文から発送まで本当に時間が限られていたのですが
やれる範囲で最善の手を入れようという事で、スタッフ総出で納品前にメンテナンス。
まずは天板の締め直し。
締め直し作業の写真が無いのが残念ですが・・・終了後がこちら。
極力隙間をなくすように慎重に締め直し。
隙間の断面をサンドペーパーで研磨し、そこに接着剤を塗ります。
その後、ハタガネという道具で天板の外側から締めつける様にして、開いてしまった隙間をうめて圧着して行きます。
それにより天板の奥行きサイズが若干小さくなった為、鉄のフレーム寸法も微調整します。
一度グラインダーで鉄を切断し、再度溶接→溶接箇所は研磨した後、元の色味と自然になじませる様に調色します。
これでどこから見ても、溶接跡は分かりません。
脚部の塗装タッチアップなどを施し、最後は天板の仕上げ。
通常ですとビーズワックスなどで自然な艶を出しますが、今回は洋服などの商品を直接ディスプレイされるとのことでしたので、
万が一のリスクを考え、色移りを防ぐ水性ウレタン塗料を塗って完成。
乾燥前は白い液体ですが、乾くと塗装膜のギラつきなど無い自然な透明色になり、自然に馴染みます。
こうしてなんとか作業を終え、無事にお客様のもとへ旅立ちました。
c:hordでは、お客様のご使用環境・用途、ご要望にあわせて丁寧にメンテナンスを施しております。
そのほかにも家具の修理やメンテナンスなども承っております。
詳細はメール→info@chord.co.jpもしくは、お電話→03-3560-6915
にて、お気軽にお問合せください。
date.2013.08.27 category.WORK/FURNITURE CUSTOM
今日は朝から代官山にお住まいの重鎮スタイリストさん宅に、アンティーク家具の修理預かりに行ってきました。
撮影用にご自宅を貸し出した際に、撮影スタッフがチェストに養生テープを貼り、其れを剥がした際に表面の古い塗装を一緒に剥がしてしまったとの事。
こういう場合、本当は周りの古い塗装も一度剥がして木部の研磨から始めないと自然には仕上がらない。
部分的に補色して自然に合わせるのは難しいのですが、オーナーさんの希望としては元々のオリジナルの古い塗装の風合いは残したいとの事。
使い込んで朽ちた味や、ご自分で思い入れのある傷もあるのだろう。
リビングに飾られていた昔飼っていたワンちゃんの写真や、そのまま置かれているケージや玩具達を見て、そんな気持ちがふとよぎりました。
そもそも、表面のツキ板が古過ぎて強い塗装剥離剤には耐えられなさそうだし、、、。
何とかやってみよう。
さっそく店に帰って修理に取りかかる。
まず塗装が剥がれてしまった箇所に、色味を合わせて希釈したニスを、丁寧に薄く薄く平筆で塗り重ねて行く
其れが乾いたらタンポ塗装でならす。
ならしたら、また筆で塗装を塗り重ねて、乾かしてタンポでならす。
これを繰り返して、剥がれた塗装を盛り上げて、なるべくフラットにして行く。
そして、欠損ヶ所以外の風合いも合わせる為にチェスト全体の塗装もかけなおして、スチールウールで光過ぎた艶を落ち着かせて、アンティーク専用のワックスをかけて完了。
依頼外ですが、引き出しの調整とクリーニング&ワックスもやらないと何だか気持ちが悪いのでササッとオマケで手を入れる。
生まれ変わりました。
何でも丁寧に手をかけると、人の気が注入されるみたいで、家具もイキイキとします。
アンティーク家具の修理のご依頼承っております。
お気軽にご連絡下さい!
03-3560-6915
date.2013.05.01 category.WORK, WORK/FURNITURE CUSTOM
先日インテリアショールームに納めたリフェクトリーテーブルの完成写真を、御客様から送って頂いたのでアップします。
我々c:hordの仕事としては、なかなか珍しい上品な設えにセットされました。
実物の制作前につくったパースがこちら。
モダンな部屋にも、クラシカルな部屋にも合う不思議な存在感のあるテーブル。
使い手次第で、色々な見せ方が出来る一台です。
こどもの城の裏に新しく出来た、TBS ハウジング渋谷
という住宅展示場の東急ホームズ棟内にディスプレイされていますので
機会があれば是非ご覧下さい。
今から10年以上遡り、私がまだアンティークの修理工房でイギリスのドローリーフテーブルやオークチェアーなどの、比較的オーソドックスな家具の修復業に携わっていた時代。
構造がゆるんだ家具を一度バラバラのパーツに分解して、また組み直し、最後はフレンチポリッシュと呼ばれる手塗り塗装で磨きあげて仕上げる
という手間の掛かる作業をして、経年の味わいを残しながらも綺麗に家具を復元し、アンティークがご趣味の方々のご家庭に納めていました。
時が過ぎ、様々な商業空間にアンティークが什器として必要とされる時代が訪れ、ここ数年そこで求められるニュアンスの多くは、
朽ちた表情のかすれたペイントや、その塗装が剥がれて木肌を露出させた物だったり、ジャンクやインダストリアルだったりと、
少し若いテイストで、いずれにしても英国アンティークのニス塗装仕上げとはまた異なる雰囲気が主流でした。
アパレルなどの商業空間による多種多様なアンティークの需要が生まれ、それまでの『古き良き美しいアンティーク』とはまた異なる存在価値とインパクトを求められて来た様にも思います。
そんな最中、昨年ロンドンの歴史ある洋服屋さんへ向けて、アンティークテーブルとチェアーのセットを仕上げて日本から輸送する、というお仕事をさせて頂く機会がありました。
この時求められたのは、オーソドックスでイギリスらしい普通のテーブルセット。
歴史あるそのショップに自然に馴染む様に、敢えて主張しない家具が必要だったのでしょう。
イギリスから海を越えてわざわざ日本にやってきたアンティーク家具を、日本人がロンドンの老舗ショップの為に仕上げ直して、また海を越えて送る、
という不思議な状況を楽しみつつ、久しぶりに今回トップでご紹介したテーブルと同じく、フレンチポリッシュという古典的な塗装方法を用い、テーブルやチェアーなど一つ一つの家具を磨き上げて仕上げたのです。
ウレタンのスプレー塗装で分厚く吹き付けた現代家具の塗装よりも、耐水性や耐熱性の面で劣りますが、この塗装には何とも言えない人間の手仕事の味わいがあります。
18世紀のフランス から伝わったワックスとオイルの調合などからその名前が付いた、フレンチポリッシュと云うこの塗装方法。
少しずつ塗装を塗り重ねて行く度に美しく艶が増していく感じが何ともいえず楽しい。
↓この動画内で使われている様に、てるてる坊主の頭の様な『タンポ』と呼ばれる布団子を作って、そこにニスをしみ込ませて塗装面を
軽く何度も撫でる様に滑らせ、薄く塗り重ねて行くのです。
奥が深いです。
date.2012.06.08 category.WORK/FURNITURE CUSTOM
先日お客様からご依頼いただいた、c:hordのオリジナルテーブル。
一見なんてことないようで、実は複雑な構造が絶妙な職人技で成り立っているこのテーブル。
完成写真だけでは中々伝わらない魅力を、製作行程とともにご紹介したいと思います。
まずは、木を削り出して成形した脚部にオイルステインを均一に入れていきます。
塗料の入りにくい入隅は特に丁寧に。
乾燥後、黒に塗装。
木目や導管をつぶさず、下地のステインを生かすよう独自の薄付き塗装を施します。ペンキでベタッと塗り潰してしまうと、この独特な質感は出せません。
鉄のフレームと脚を組合せ、全体のバランスや水平をチェック。
脚と天板が離れた複雑な構造になっているので、一つ一つのパーツの精度が如実に影響します。
脚部のくびれに、『相杓り あいじゃくり』という技法で、弓なり形状に湾曲した鉄製の貫(ぬき)をはめます。
この貫は、脚部の補強を担うのは勿論の事、このテーブル全体の重要な意匠になっています。
脚部のワックスアップ。
三分ツヤになるよう丁寧に磨いていきます。
あとは天板にガラスを乗せて完成です!
サイズや脚部の色味、仕上げ方など
細かく調整可能ですので是非お気軽にご相談ください。
date.2010.11.27 category.WORK/FURNITURE CUSTOM
またまたカスタムのbefore→afterを!
こちらがbeforeの写真。
このままでも悪く無いですが、なんとも普通??
木部は固着した古い汚れが少し目立ち、赤いレザーの座面も今ひとつ味わいが無い。。
そこでカスタム。
古びた木部塗装を思い切って剥離除去。
塗装や汚れをコツコツコツコツと、根気良く剥がして行きます。
その後丁寧に木部をサンディング。
雰囲気を残しながら丁寧にサンドペーパーをかけて行きます。
そして元の赤い座面をブラック+ブラウンの染料で染めて色素定着させ。
完成。
これがafterです。
木部はブラッシュアップされて、少しアンティークの味わいを残しながらも綺麗な素肌を出しました。この乾いた質感のがっしりと繊維の詰まったオーク材は、またこれから大切に使い込まれて行く中で、新たな飴色の艶を身にまとう事になります。
革は染色をかけた事で、奥に薄らと赤色を感じさせるブラックチェリーの様な渋みのある色合いになりました。
革と乾いたウッドとの色の相性が抜群に良い。
これを無塗装のサドルレザーなんかで張り合わせても絶対かっこ良い!!
ご希望のお客様は是非ご相談下さい。
構造もがっしりとしていますし、持ってみるとズシッと重みのある質の良い木が使われたチェアーです。お薦めです!
date.2010.05.14 category.WORK/FURNITURE CUSTOM
c:hordでは、家具や什器等の製作をはじめ、アンティーク家具のカスタム/リペインとなどのご依頼を承っております。
店舗用のディスプレイ什器からご家庭用の家具まで、お客様のご要望やご予算に合わせてオリジナリティ溢れる熟練の技術をご提供致します。
お気軽にお問い合わせ下さい。
tel 03-3560-6915
info@chord.co.jp
date.2010.04.13 category.WORK/FURNITURE CUSTOM
立川の美容室『Baroque(バロック)』
今回は、カットチェア・ソファのカスタムや、両面ドレッサーの製作をはじめ
シャンデリアやブラケットライトなどの照明器具や、ハンドル等のアンティークアイテムを納めさせていただきました。
ロンドンのサロンのようなエントランスには
重厚なブラスハンドルと、エンパイアシャンデリアをセット。
ウェイティング用のソファには雰囲気の異なる2種類の生地を選んで張り替え、それぞれ調和する様にフレームもリペイント。
全体をカスタムメイドしました。
花柄の刺繍が施された黒のリネン生地には
白のペイントのやれた風合いで
淡いピンク色のリネン生地の方は
年数が経って少しくすんだ様な表情にエイジングした木肌を出して
カットフロアは、生地や色のバリエーションをつけて、女性的な可愛らしさを表現しました。
フロアの中心には、オリジナル製作したドレッサーをセット。
アンティークテーブルのセンター部分には両面ミラーを組合わせてあります。
壁際のカット面
お客さんがお店を訪れる度に、イメージの違う椅子に座わって、いつも新鮮な気持ちになって貰える様にと、フレームの塗装も張り合わせる生地も1脚ずつ様々に表情の異なるカットチェアにしました。
奥のウェイティングスペースには
リペイントしたアームチェアとサイドテーブルをシンメトリーに配置。
ウッドのシャンデリアを、空間に合わせてリペイント。
淡い色を塗り重ねながら、白が褪せた様な柔らかな風合いに仕上げました。
ウェイティングの向い側のネイル&マッサージスペース。
アンティークのフレンチソファを、エイジングされたキャメル色のレザーで張替えました。
座面はリネン生地で切り替えて、少し優しいイメージに。
アームチェアーやレザーソファ、シャンデリアなど。
フレームを塗り替えたり、生地を張り替えてあげたりと
こんな風に丁寧に手をかけてカスタムしてあげる事で、アンティークの家具にもう一度新しい命を吹き込んであげる事が出来ます。
家具のコーディネーションやカスタム、家具製作など
みなさま、お気軽にご相談下さい!
date.2009.12.13 category.WORK/FURNITURE CUSTOM
可愛らしい印象だったショーケースを少し男っぽくシックにカスタムしました。
before→
after→
本体表面に軽くテクスチャーをつけ、グレーのエイジング塗装で仕上げております。内部はチャコールグレーのヌバック調ファブリックを張り、天井部にはスポットライトを2灯取り付けました。
→
date.2009.02.27 category.WORK/FURNITURE CUSTOM
たまには真面目にお仕事の話題を。
今回はカスタムの一例としてソファの張り替えをご紹介。
張り替え前のソファの写真がこちら。
ブラックのフレームが美しい有機的な曲線を描く、全体のフォルムに存在感のあるソファですが。
ファブリックの模様とコンディションが、、なんともイマイチですね。
そこで張り替え。
メンテナンス後のソファがこちら。
大人お洒落なソファに生まれ変わりました。
sofa商品詳細
感度の繊細な背中にあたる部分には柔らかく優しい感触のリネンを、摩擦度が高く、長くご使用頂く上で強度を要する座面とアームレストにはしっかりとしたレザーを。
リネンの淵を処理するテープには座面とアームレスト同様レザーを用い、単発の真鍮鋲でハード過ぎず上品にアクセントを付けて仕上げます。
木部とレザーのブラックと、リネンのオリーブグリーンの色合い。
レザーテープの上を等間隔に走る単発の真鍮鋲の合わせが調和します。
座面とアームレストに使用したのは上質でほどよいシボの入ったブラックのレザー。オイルを吸い込み使い込む程に味わいを増します。
きめ細かく手触りの良い若い牛の小振りな体躯からとれる皮革を使用している為、2カ所でつぎ合わせました。
ステッチにはリネンにあわせてオリーブグリーンの蝋ビキ糸を使用。
リネンは栽培から加工まで厳しい品質管理をされたマスターオブリネン基準の物です。
キャスターのコンディションも良。
ソファ下には、ハンドノットの民族織りラグマットやギャッベなどを敷いて、好きなお酒でも傾けながら、音楽を聴いたり本のページを繰ったりと ゆったりとした時間を過ごしてみては如何でしょうか?
厚みあるウール100%のラグの温かささと、草木染めの落ち着いた彩りがソファと最高に合うはずです。
ソファの商品詳細はこちらからどうぞ