先日インテリアショールームに納めたリフェクトリーテーブルの完成写真を、御客様から送って頂いたのでアップします。
我々c:hordの仕事としては、なかなか珍しいマダムな設えにセットされました。
実物の制作前につくったパースがこちら。
モダンな部屋にも、クラシカルな部屋にも合う不思議な存在感のあるテーブル。
使い手次第で、色々な見せ方が出来る一台です。
こどもの城の裏に新しく出来た、TBSハウジング渋谷という住宅展示場にディスプレイされていますので
機会があれば是非ご覧下さい。
今から10年以上遡り、私がまだアンティークの修理工房でイギリスのドローリーフテーブルやオークチェアーなどの、比較的オーソドックスな家具の修復業に携わっていた時代。
構造がゆるんだ家具を一度バラバラのパーツに分解して、また組み直し、最後はフレンチポリッシュと呼ばれる手塗り塗装で磨きあげて仕上げる
という手間の掛かる作業をして、経年の味わいを残しながらも綺麗に家具を復元し、様々なご家庭に納めていました。
時が過ぎ、アンティーク家具が商業空間の中で「什器」として必要とされる時代が訪れ、ここ数年そこで求められるニュアンスの多くは、朽ちた表情のかすれたペイントや、塗装が剥がれて木肌を露出させた物だったり、ジャンクやインダストリアルだったりと、いずれにしても英国アンティークのニス塗装仕上げとはまた異なる雰囲気が主流でした。
アパレルなどの店舗空間による多種多様なアンティークの需要が生まれ、それまでの『古き良き美しいアンティーク』とはまた異なる存在価値とインパクトを求められて来た様にも思います。
そんな最中、昨年ロンドンの歴史ある洋服屋さんへ向けて、アンティークテーブルとチェアーのセットを仕上げて日本から輸送する、というお仕事をさせて頂く機会がありました。
この時求められたのは、イギリスらしいオーソドックスなテーブルセット。
歴史あるそのショップに自然に馴染む様に、敢えて主張しない家具が必要だったのでしょう。
イギリスから海を越えてわざわざ日本にやってきたアンティーク家具を、日本人がロンドンの老舗ショップの為に仕上げ直して、また海を越えて送る。この不思議な状況を楽しみつつ、久しぶりに今回トップでご紹介したテーブルと同じく、フレンチポリッシュという古典的な塗装方法を用い、テーブルやチェアーなど一つ一つの家具を磨き上げて仕上げたのです。
ウレタンのスプレー塗装で分厚く吹き付けた現代家具の塗装よりも、耐水性や耐熱性の面で劣りますが、この塗装には何とも言えない人間の手仕事の味わいがあります。
18世紀のフランス から伝わったワックスとオイルの調合などからその名前が付いた、フレンチポリッシュと云うこの塗装方法。
少しずつ塗装を塗り重ねて行く度に美しく艶が増していく感じが何ともいえず楽しい。
↓この動画内で使われている様に、てるてる坊主の頭の様な『タンポ』と呼ばれる布団子を作って、ニスをしみ込ませて塗装面を
軽く何度も撫でる様に滑らせ、薄く塗り重ねて行くのです。